市展2018年



何となく心さわぎていねられずあしたは春のはじめとおもえば
草の庵にねざめてきけばあしびきの岩根におつる滝津瀬の音
西行2首

県展2018年



草も木もふりまがへたる雪もよに春まつ梅の草の香ぞする
雨そそぐ花橘に風すぎて山時鳥雲になくなり
草枕夕べの空を人とわばなきてもつげよ初雁の声
古今集3首

市展2017年



梅が香にたぐへてきけばほととぎす声なつかしき春の山里
衣手にうつりし花の色なれや袖ほころぶる萩の花すり
西行2首

市展2016年



ゆきふりてしずけかりとふ朝庭にはるの時雨か音わたりくる
花一つ枝にとどめぬ玉欄の夏むかふなりわれもうつらん
白秋2首

市展2015年



東風いたくふくらしなごの海人のつりする小舟こぎかくるみゆ
奥山のやつおの椿つばらかにけふは暮らさねますらおのとも
万葉集2首

市展2014年



春過ぎて 夏 来向かへば あしひきの 山呼びとよめ さ 夜中に 鳴く ほととぎす 初声を 聞けばなつかし
あやめぐさ 花橘はなたちばなを 貫ぬき交まじへ かづらくまでに 里とよめ 鳴き渡れども なほししのはゆ
万葉集長歌

市展2013年



つれもなき人に見せばや桜花風にしたがう心よわさを
松風の音のみ何か岩ばしる水にも秋はありけるものを
新古今集2首

市展2009年



いもの師の道もたふとし釜ことに1つの型のくづされてゆく
高岡の城の公園しづかなる水ともみじを路めぐりゆく
与謝野鉄幹のうた1首

市展2007年



高き家に君とのぼれば春の国河遠しろし朝の鐘なる
与謝野晶子のうた1首

市展2006年



春雨はいたくなふりし桜花まだ見ぬ人にちらまくもおし
窓ちかき竹の葉すさぶ風の音にいとどみじかきうたたねの夢
新古今集2首

市展2005年



久方の雨もふらぬか蓮葉にたまれる水の玉にあらむみん
庭草にむらさめふりてこほろぎのなく声きけば秋つきにけり

市展2003年



庭草にむらさめふりてこほろぎのなく声きけば秋つきにけり
久方の雨もふらぬか蓮葉にたまれる水の玉にあらむみん

与謝野晶子の歌2首